UXデザインを仕事にするとはどういうこと? UX人材レポート
UXデザインに携わる方が増えているものの、他の方の働き方や仕事の実情はわからないことも多いもの。NEWhでは、UXを仕事にしている方々の実態を少しでも理解するべく「UX人材の業務や働き方」に関するアンケートを行いました。
この記事では回答結果についてレポートします。
実施したアンケートについて
募集期間:2021年12月3日〜12月9日
アンケート対象者:UX関連 の仕事をしている方
回答者:23名
アンケート実施会社:株式会社NEWh
アンケート募集方法:SNSなどでの呼びかけ
※ 結果がNEWhに傾かぬよう、NEWhのメンバーは本アンケートには回答していません。
UXデザインとは、一般的な定義としてはこのように知られています。
しかし、このアンケートや記事では仕事・職能・スキル・方法論などに限定せず、「UXデザイン」という言葉をあえて曖昧なまま使用しています。回答者や読者に解釈を委ねられるよう、意図を持ってこのような形にさせていただいています。
また、このレポートを通じてUXの仕事やUXデザイナーを定義したいわけではありません。UXデザインに関わる多様な方の視点を通じ、何かしらの発見や参考があると嬉しいです。
ご回答いただいた方について
ご回答いただいた方の中で、30代が半数以上を占めています。
40代以上も30%を超えており、シニアクラス寄りの回答者となっています。
エージェンシー、インハウス、その他(両方含む)の回答者比率はほぼ同等でした。
肩書き:UXデザインに携わる方はどんな職能の方なの?
「UXデザインに携わる方」と広く募集したため、さまざまな職種の方にご回答いただきました。
「UXデザイナー」とご回答された方は7名。その他、以下のように多様な肩書きの方が揃いました(重複含む)。
UXを仕事で使っているのは、UXデザイナーだけではないと改めて感じさせる結果でした。
UXリサーチャーと呼ぶのか、デザインリサーチャーと呼ぶのか。CDOなのかCXOなのか。近しい意味であっても、言葉のニュアンスの違いからその肩書きを選んだ会社や個人の個性や思いが出ている気がします。
肩書きは社内の他の職種との対比や、業界ごとに相対的だったりもするもの。例えば転職活動時は、上記職種で広く検索してみて、いろんな会社や職能の方の話を聞きに行くのも有意義な気がします。
職能の定義:UXデザイナーとは?
「UXデザイナーとはどういう職能を指すと思いますか?」という問いに対しての、回答はバラエティー豊かでした。
いくつかのグループにまとめながらご紹介します。
もっとも多かったのが「ユーザーにとってのよき体験」をつくるというところにフォーカスした回答。「UX=ユーザー体験」のデザインという、言葉から受ける印象にもっとも近い回答かもしれません。
UXデザインは「体験価値」と言ったりもしますが、体験をつくる目的に有用性などの価値を置く回答も目立ちました。
「体験によって価値をつくる役割」とも近いのですが、メインゴールをより事業やサービスサイドにおいている回答も。ユーザー視点を大切にしながらも事業推進に重きを置いている印象を受けます。
「体験によって価値をつくる役割」とも近いのですが、人間中心設計的な方向性がより色濃く出ているご意見も。「ユーザーのため」のサービスづくりなのだということが言葉から感じられます。
ユーザーと事業をつなぐ役割なんだ、という回答。仲介者や翻訳家のような役割を想起します。
様々なメディアを束ねまとめるのがUXデザイナーという、面白い観点での定義もいただきました。
一口に「UXデザイナー」と言っても多種多様な回答が。切り取り方によって、いろんな側面があることに改めて気づかされました。「UXデザイナー」という言葉に込めている各個人の思いが垣間見え、興味深いです。
周りのUXデザイナーを見ていて「いろんな立場の人に共感し、バランスをとっている」印象があるため、「ブリッジ役」というのはしっくりくる表現でした。
また、膨大な取材や観察といったインプットやリサーチから、なにかしら一つのストーリーを編み出すという意味で、サービスデザインやUXデザインは編集に近いなと思ったりもするので「編集長」という言葉も秀逸だなと感じました。
「UXデザイナー」という言葉に込めている意味は人それぞれなのだなと改めて感じさせるアンケート結果となりました。
使用ツール:ソフトから見る仕事内容
地味に気になる、周りの人が使っているツール。
よりリアルに日常的に使っているソフトを知れるよう、「直近1ヶ月、仕事で使ったデジタルソフトウェアを教えてください」という質問でご回答いただきました。
Slackが使用率100%なのはすごいですね。必須ツールですね。
Figmaユーザーが多いものの、Figjam(9票)よりもMiro(22票)が人気。先にリリースされていた強さでしょうか。
また、Google中心でお仕事されてる方が大半という結果になりました。Google Slide(18票)がKeynote(9票)を大きく離す結果に少し驚きました。デザイン機能の自由度よりも、汎用性の高さが重視されているのでしょうか。
Googleを使っているのであれば、Googleのツールで統一できそうなイメージですが、Microsoftも併用しているのが伺えます。
Adobe系の中ではイラレが最も使われています。作図などにも便利ですものね。
プロトタイピングツールはXD(8票)やSketch(6票)よりもFigma(22票)が主流のようです。一時期はUIデザインといえばSketchでしたが、最近は個人的な肌感覚としてFigma一強になってきたように感じます
票数は少なかったものの、動画作成から、データ解析、ノーコードのサイト作成まで幅広いソフトが上がっており、みなさんの守敏範囲の広さを感じます。
Dovetailは初めて知りました。ユーザーリサーチに使えるツールとのこと。ぜひ試してみたいなと思いました。
多様なソフトが上がっている中でも、「ほぼ全員使っている」ものがあるなど、傾向が顕著に出る回答結果となりました。
業務内容:UXってどんな仕事?
半年以内に担当した業務をお伺いしました。
37種類の業務の選択肢を用意していましたが、全項目に票が入っていたのは回答者の業務内容の幅広さを物語っています。
定性・定量調査、ワイヤーフレーム、ジャーニーマップ、ワークショップが多くの票を獲得。これは、一般的なUXデザイナーの職能のイメージとも近い結果になっているのではないでしょうか。
最多票はユーザインタビュー。ユーザーを知る近道はインタビューでしょうか。インタビューはUXデザインの必須スキルと言えそうですね。
プロジェクトマネジメントの票数がこんなに多いのは少し意外かもしれません。プロジェクトマネージメントが何を指しているのかはなかなか曖昧ですが、プロジェクトマネージャーが不在のプロジェクトが多い可能性もありそうです。
票数が少なかったこちらの業務は逆に、UXデザイナーとしては一般的な業務内容ではないと言えるかもしれません。個人のスキルセットで持っている場合、あるいはチームのスキルセット的に欠けている場合にやる...というイメージでしょうか。
最初の肩書き:UXデザイナーの原点は?
「UX•UIデザイナー」がおひとりだけいらっしゃいましたが、ほとんどのみなさんが、UXデザイナーではないところからキャリアを始められています。
とは言え、近しい業界でキャリアをスタートした方が多そうな回答結果。Web、広告、制作、システム関連の業界からのスタートを感じさせます。
キャリアの変遷:今に至るまでの道のり
実際に、みなさんどのようなキャリアを歩まれたのでしょうか。アンケートにお答えいただいた方の中からインタビューなどにご協力いただき、お仕事の変遷のお話を聞いてきました。
キャリアは十人十色。そんな当たり前のようなことをお話を聞くことで改めて感じました。
エージェンシーから事業会社からスタートアップまで、さまざまな種類の会社を渡り歩いている人が想像以上に多かった印象です。
転職を考えたきっかけとして、「自分も手を動かしてデザインがしたい」「上流から関わりたい」「ユーザーがプロダクトを使うところや改善するところまで見届けたい」「エンジニアの近くで働きたい」という声がよく聞かれました。
転職を通じて、違う環境や仕事をすることで、自分に向いていること・やりたくないことなどがより明確化され、自分自身に対する解像度があがる。お話を聞いた方々は、みなさんそういった学びを楽しんでいるのが印象的でした。
まとめ
ご回答いただいた方々の、多様な働き方や考え方が現れたアンケート結果でしたが、同時に共通点や傾向も垣間見れ興味深かったです。
今回のアンケートやインタビューから、デザイナーのキャリアについての記事も現在準備中です。お楽しみに。