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Question & Design

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『Question & Design』は、デザインの視点やグローバルな視点から新しい問いを見つけ日本の経営をアップデートするCDO/CXO/CCOのためのデザイン経営マガジンです… もっと読む
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#ビジネス

バックオフィスをデザインの力で変えていく STORES PXデザイナーの仕事

連載「Portrait of CDO」では、CDOに職務内容や役割について伺ってきました。企業が持つ課題感や置かれているフェーズは異なるものの、どのCDOにも共通していたのがデザインを武器に道を切り開いていく姿勢です。 デザインの対象範囲を広く捉え、事業運営上発生するあらゆる課題をデザインを用いて解決していく。CDOがデザインの汎用性を証明しつつあることと、特定領域に特化した「〇〇デザイナー」を耳にする機会が増えていることは、無関係には思えません。 今回インタビューを行った「

プロダクトを通じてデザイナーを増やす プレイド CDOがチャレンジする「デザイン」の民主化とは

今ではすっかり聞き馴染みのある言葉となった「CX(顧客体験)」。 その重要性とともに、CXプラットフォーム「KARTE」を通じて日本企業のマーケティング現場にCXを浸透させた先駆的存在が株式会社プレイドだ。2020年に東証マザーズ上場を果たし、それ以降も行政や企業などとのコラボレーションを次々と発表している同社は、株式市場で注目を浴びるSaaS企業の1つである。 そんなプレイドのCDOを務めるのは、2019年に解散したUXデザイン専門会社Standard incの元代表・鈴木

Portrait of CDO #4 成功も失敗も、全部がナイスチャレンジ! エムスリーの成長を支える組織文化とデザインの秘訣

世界に通用するスタートアップが日本からなかなか出てこない、そんな市井の声に反して世界的に大注目の企業がある。医療業界のDXを推し進める、「日本のGAFA」ことエムスリー株式会社だ。 同社の中核事業である医療情報専門サイト「m3.com」には、日本で活動する医師の9割もが登録する。この巨大メディカルプラットフォームに集積される医療情報を基盤とし、製薬企業や生活者向けサービスなど、60以上ものサービスを提供。海外展開も果たす同社は株式市場で注目の的となっている。 医療業界でD

Portrait of CDO #3 後編:自分で見つけたものを信じてやり続ける。流行りに飛びつかない、組織の思想を体現するデザイン組織のあり方

「正直、僕はデザインに対して、本当に、本当に、本当に、絶望していました。」 そう語るのは、2020年にユーザベースのB2B SaaS Business 執行役員CDO(Chief Design Officer)に就任した平野友規氏だ。2010年代中頃に迎えたデザインシンキングバブルの側で絶望の底に1人落ちた平野氏は、文字通り「バーンアウト」し、その後アカデミアの世界に身を置いたという。 今回、平野氏にお話を伺うことにしたのは、このドラマチックなストーリーに惹かれたからだけ

Portrait of CDO #3 前編:絶望を経てたどり着いた、ユーザベースCDOが考えるデザインの役割

「正直、僕はデザインに対して、本当に、本当に、本当に、絶望していました。」 そう語るのは、2020年にユーザベースのB2B SaaS Business 執行役員CDO(Chief Design Officer)に就任した平野友規氏だ。2010年代中頃に迎えたデザインシンキングバブルの側で絶望の底に落ちた平野氏は、文字通り「バーンアウト」し、その後アカデミアの世界に身を置いたという。 今回、平野氏にお話を伺うことにしたのは、このドラマチックなストーリーに惹かれたからではない

Rabbit Hole of Design Strategy /みんなが知らない、デザインのほんとの仕事

CDO(Chief Design Officer)の存在は、もはや珍しいものではない。マッキンゼーによる調査は、米国では、この5年間で「デザイン」を司る役割を組織図に追加した企業が倍増しているとしている。デザインに重きをおく企業は、同業他社に比べて約2倍の収益の伸びをみせているとする報告もあるほどだ。 しかし、同じマッキンゼーのレポートは、非常に残念な調査結果も突きつけている。曰く、約90%の企業がデザインの潜在能力を十分に発揮できていないというのだ(※)。 ※ レポート

Portrait of CDO #2 後編:デザイナーのロールモデルを作る

急拡大するHRテクノロジー業界でタレントマネジメントシステムのトップシェアを誇る株式会社カオナビ。2019年にマザーズ上場を果たした同社は「非連続性」を生み出すべく、最高デザイン責任者(CDO) 玉木穣太氏を招き入れました。 玉木氏が入社されてから1年。その間に公開したFuture Deckは3万ビューを超え、コロナ禍におけるオフィスの拡張移転は話題を呼んでいます。しかし、本人に話を伺ってみると「ミーハーでステレオタイプ、芯のないデザイナーでした」と、自らの過去を自嘲気味に語

Portrait of CDO #2 前編:非連続性を生み出すカオナビCDOの役割とは

急拡大するHRテクノロジー業界でタレントマネジメントシステムのトップシェアを誇る株式会社カオナビ。2019年にマザーズ上場を果たした同社は「非連続性」を生み出すべく、最高デザイン責任者(CDO) 玉木穣太氏を招き入れました。 玉木氏が入社されてから1年。その間に公開したFuture Deckは3万ビューを超え、コロナ禍におけるオフィスの拡張移転は話題を呼んでいます。しかし、本人に話を伺ってみると「ミーハーでステレオタイプ、芯のないデザイナーでした」と、自らの過去を自嘲気味に語

経営危機とデザインの力 -苦境の旅行業界で新規事業を生み出し続けるベルトラの舞台裏-

世界150カ国の現地体験型オプショナルツアー専門予約サイト『VELTRA』を運営するベルトラ株式会社。「旅の本質は、文化交流にある」と考え、世界各国の豊富なアクティビティ商品を提供している同社のサービスは旅先での体験を重視する個人旅行者(FIT)に大きな支持を受けている。 2018年には東証マザーズに株式上場を果たし、右肩上がりの成長を続けてきたベルトラにストップをかけたのは新型コロナウイルス感染症だった。 ツアーの予約数は大きく減少し、一部サービスを閉鎖。従業員の休業対応

Redefine “Good Design” / 「使いやすいデザイン」は、社会をダメにする

ちょうど1年前に米国で起きた警察官による黒人男性の殺人事件と、それを発端に巻き起こったBlack Lives Matter運動。世界が向き合わざるをえなくなった人種差別を引き起こすひとつの要因が「優れた人間中心のUX」にあるとする議論がいま、盛んです。激動する社会の中で解決策を見出そうとするUXデザイナーをはじめとする米国デザイン界の動きを追いました。 *  *  * いま社会には、「国」や「都市」ほどマクロでもなく「コミュニティ」よりもっと手応えのある人と人とのつなが

Portrait of CDO #1 前編:社会課題を解決する、LIFULL流クリエイティブ戦略

株式会社LIFULL(以下LIFULL)は「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージとするソーシャルエンタープライズ企業。あまり聞きなれない「ソーシャルエンタープライズ」ですが、何かと言うと事業を通して社会課題の解決を目的として収益事業に取り組む事業体なんだそうです。 渋沢栄一の「論語と算盤」のように自社の収益と公益との両立を目指す企業、そんなLIFULLでCCO(Chief Creative Officer)としてクリエイティブ全般を統括している川嵜氏に、

Portrait of CDO #1 後編:クリエイティブでなければ、価値ある経営判断なんてできっこない

株式会社LIFULL(以下LIFULL)は「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージとするソーシャルエンタープライズ企業。事業を通して社会課題解決をしていく会社であるが故に、「社会課題の発見と事業創出」をミッションの1つとするクリエイティブ戦略は経営の中でも特別重要な位置付けとされていました。この後半では、クリエイティブ戦略の中でクリエーターやデザイナーを実際どう育てていくのか。そして経営とクリエイティブはどう融合していくのか、LIFULL川嵜氏に聞いてみま

Question & Design 創刊します

社会に良い影響を与えるためには何をすべきなのか? 誤解を恐れずに言うと、より多くの経営者が良い経営、良い事業をすることなのではないかと思ってます。 事業をやることで収益が得られ、持続可能な活動状態が作ることができる。 その”回っていく”状況さえ作れたら御の字、事業が目指す方向性さえ間違えることがなければ、必ず社会に対して良い影響を作っていくことができる。 反対勢力の真っ只中で批判に晒され続けながら戦う、そういうタフな変革は、ジャンヌダルクさながら負を背負って生きていくこと